医療事務は、給料が低くて残業が多いってよく聞くけど本当?
医療事務になりたいと考えている方の中には、こんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、12年間に3つの医療機関で働いてきた筆者が実体験をまとめます。給料や残業の多さなど、実際に働いて分かったことをお伝えできればと思います。
最後まで読むと、以下のことが分かります。
- 給料や残業の実際
- 休み事情
- 少ない残業で働く方法
「医療事務にチャレンジしたい!」と考えている方の不安を、少しでも軽くできたら嬉しいです。
医療事務の給料
医療事務の給料は、働き方や病院の規模、地域によって額はさまざまです。働き方別に見ていきましょう。
正社員の場合
医療事務の正社員の平均年収は250〜350万円、低いエリアであれば180〜250万円です。(参考:平均年収.jp)
賞与は年間で2〜4か月分というところがほとんどで、賞与が2か月分とした場合医療事務の月収は13〜25万円ほどが平均です。
額面の幅については「経験があるかないか」が大きく関係しており、未経験だと13万円以下という求人もちらほら見かけます。
筆者も違う病院へ転職する時に、募集要項に書かれている金額より多く提示されたことがありました
未経験・無資格でも働ける医療事務では、経験がとても大きな武器になるんだね!
正社員の平均給料
- 年収 … 250〜350万(低い地域は180〜250万円)
- 月収 … 13〜25万円
- 賞与 … 2〜4か月分
派遣の場合
派遣での勤務では、1,200円前後の時給が相場です。次にお伝えするパート勤務よりも高い時給となっています。
この働き方を選ぶメリットは、
- 家庭の状況に応じて短時間勤務も選べる
- 勤務先が合わなければ、派遣会社を通して医療機関を変えられる
- 高い時給でしっかり稼げる
などがあり、派遣ならではの働きやすさが大きな魅力です。
- 契約社員の時給相場 … 1,200円前後
パートの場合
パートでの勤務では、1,000円前後の時給が相場です。
医療事務では、自分の生活に合わせてパート勤務を選ぶ方も多くいます。「午前中のみ・週3回」といった、多忙な時間帯のみの勤務として募集されていることも多く見られます。
扶養内や限られた時間のみなど、家庭の状況に合わせての働き方が可能ですね。
- パートの時給相場 … 1,000円前後
医療事務と残業
医療事務と残業は「切っても切れない関係」にあります。
残業が多い理由①:月初〜10日まではレセプト業務がある
通常業務に加え、月初〜10日までは重要なレセプト業務が上乗せされるため、その分業務量が増えます。残業をしてでも10日までに終わらせなければならないため、1日数時間の残業となるケースが多くなってしまいます。
残業が多い理由②:患者数が増える繁忙期がある
年間を通して、花粉症やインフルエンザ、胃腸炎など特定の病気が流行する時期があります。その時期になると患者さんが多く来院するため、外来が忙しくなります。
患者数が増える分必要な事務作業も増加するので、時間内に仕事が終わらないケースも出てきます。そもそも、診療時間内で診察が終わらないことも……。
そのため、患者数が多い時期は定時での帰宅が難しいこともがあります。
このことから「医療事務は残業が多い」と言い切っていいでしょう
そんなハッキリと……。子育てもあるし残業はあまりしたくないんだけど、医療事務は諦めた方がいい?
諦めなくて大丈夫!勤務先や働き方によっては、残業がない場合もあります
解決法:少ない残業で働くには?
大きい病院は患者数が多くて忙しいし、小さなクリニックはスタッフが少なくて忙しい…。どのみち、医療事務は残業から逃れられないと感じてしまいますね。
でも、安心して無理なく医療事務にチャレンジして欲しい!
そう願う筆者が、少ない残業で医療事務として働く方法をお伝えします。
混雑する診療科を避ける
応募してみたい医療機関は、何科を専門としていますか?
医療事務として働くにあたって、混雑する診療科を避けて求人に応募することが残業を軽減するポイントです。
診療科が違うと、1日に来院する患者数も大きく異なります。1日の平均患者数を診療科別に見てみます。
- 内科…38.2人
- 精神科…35人
- 小児科…42.7人
- 皮膚科…58.7人
- 整形外科…75.5人
- 耳鼻咽喉科…53.3人
科によって倍の開きがある!
実際に勤務していた私のイメージもお話しします
- 小児科 ⇨ 保護者の仕事が終わってからの受診が多いため、終了間際に受付が立て込むことが多い
- 皮膚科 ⇨ 美容皮膚科もあると更に患者数が多くなる
- 整形外科 ⇨ 平均患者数が多く、労災や事故対応での事務作業が追加になるケースもある
- 耳鼻咽喉科 ⇨ 風邪のひきやすい秋から春にかけて患者数が増える
この辺りの診療科に対して、多忙な印象を持っています。
専門科はひとつの科でじっくりスキルアップできる楽しさがあります。
しかし、残業時間を抑えることを重視するのであれば、診療科の選び方に注意してみてください。
患者数を事前にリサーチする
じゃあ内科や精神科は暇なの? 総合病院ではどうなの?
他と比べて患者数が少ない科でも、医師によって診療時間や患者数はさまざまです。
「患者数が少ないはずのに なかなか診療が進まず、時間内に終わらない……」といった状況もよく見受けられます。
そもそも、総合病院では色々な科がありますよね。
そこで、応募してみたい医療機関が見つかったら 1日の患者数がどれくらいなのかを調べてみましょう。
コロナ禍以降、WEBでの予約や事前受付を取り入れている医療機関がぐんと増えました。診療時間にWEBサイトを開いて、現在の受付状況をチェックしてみるのがおすすめです。
また病院の口コミもリアルな様子が書かれているので、要確認です。
- 待ち時間が長い
- 診察がなかなか進まない
- 会計に呼ばれるのが遅い
- 診察終了時間なのにまだ患者さんが待っている
このような状況の医療機関は日頃から多忙であることが多く、残業の可能性も高くなります。
患者数が多すぎなく、スムーズに診療が行われているかをしっかりとチェックしましょう。
募集要項の残業時間を重視する
求人の中には、募集要項に以下の文言を載せている医療機関が増えてきました。
「残業ほとんどなし」「残業月5時間未満」「基本残業なし」
医療事務は以前から残業が多いイメージが強く、求人を出してもなかなか応募が来ないのも現状です。
そのような中で残業時間の削減に取り組んでいる医療機関には、より多くの応募が来ます。結果、優秀な人材を確保でき、診察や院内の業務がスムーズに回ります。
声を大にして言います、是非そのような医療機関に応募してください!上記のような文言を求人に載せている医療機関は、時間内でレセプト業務もこなせている可能性が高いです。
医療事務の勤務形態
医療事務がどのような働き方をしているのか、休みの取りやすさについても触れながら、詳しい状況をお伝えします。
診療日に合わせた勤務でシフト制が多い
医療事務は基本的に、医療機関の診療に合わせての勤務です。
救急受け入れを行っているような大きな病院だと、決まった休日がありません。そのため、常に十分なスタッフ数を確保するためにシフト制を取り入れているところが多いのが現状です。
シフト制での勤務だと、日・祝日や夜間勤務もあり得るので、求人票をよく確認しましょう。
また小さな規模のクリニックであれば、平日の内どこか1日 + 日祝日に休みを設けているところが多い印象です。この場合、基本的にスタッフは全員、クリニックの診療日に合わせての休みとなります。
どちらにも共通するのは、病院という性質上 完全に土日祝日休みのところは少ないということです。
土曜日も午前診療を行っているところが多い上に大変混雑するため「医療事務にとって土曜勤務はほぼ必須」です。
休みや有給について
医療事務では月初や繁忙期は休みが取りづらい状況であること多いです。月初のレセプト業務時期や、病気の流行時期などの繁忙期では出勤せざるを得ないこと多く、個人的な休みの希望は言い出しにくい雰囲気があります。
筆者も医療事務として勤務している12年間、毎月1〜10日に休み希望を申請したことはほぼありませんでした。そこは医療事務の宿命なのかもしれません。
ただ、医療機関は福利厚生がしっかりしているところが多く、産休・育休や時短勤務などはとても利用しやすい場合が多いのは大きなメリットと言えます。
勤務状況は医療機関によってさまざまなので、求人応募の際に必ず以下のことを確認しましょう。
- 希望日に休みをとることは可能か
- 独自の休暇制度はあるか
- 1日の出勤スタッフの 正社員とパートの割合はどうか
中にはスタッフのワークライフバランスを重視して、残業削減や休みの取りやすさに力を注いでいる医療機関もあります。
自分の希望する働き方に合った職場を見つけるため、日々こまめに求人をチェックしてみましょう。
筆者経験談:実際の給料や働きやすさを公開します
筆者は12年間に3つの医療機関で働いてきました。それぞれの給料と残業の実態などをまとめます。
※ いずれも【 正社員・北海道 】での勤務です。
良かった点は緑のライン 大変だった点は青いライン を引きますので、参考になれば幸いです。
医療事務体験談①:大規模病院
- 規模
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全国にグループ病院がある大規模病院(200床以上)
- 業務
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外来窓口、保険請求、夜勤での夜間救急対応(月3回)
- 給料
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190,000円+残業代+賞与4か月分
- 手当
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通勤手当、住宅手当、夜勤手当、寒冷地手当
- 残業
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月30時間(月初のみ|18:00〜22:00)
- 休日
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スタッフが多く休み希望が通りやすい・リフレッシュ休暇あり
- 有給
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新卒だったため申請しづらい雰囲気あり
医療事務体験談②:中規模病院
- 規模
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中規模病院(200床未満)
- 業務
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外来担当、入院担当、クラーク担当、保険請求
- 給料
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170,000円+残業代+賞与4.2か月分
- 手当
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通勤手当、住宅手当
- 残業
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月30時間(月初のみ|18:00〜21:00)
- 休日
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スタッフが多く休み希望が通りやすい
- 有給
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2か月に1度くらいであれば取得可能
医療事務体験談③:クリニック
- 規模
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クリニック(無床)
- 業務
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外来担当、保険請求、掲示物作成、医事システムの簡単なメンテナンス
- 給料
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210,000円+残業代+賞与4か月分
- 手当
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固定残業手当、通勤手当
- 残業
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なし
- 休日
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休み希望は通りやすいが、他のスタッフとの相談は必須
- 有給
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月に1回程度であれば気軽に取得可能、2〜3日の休暇も相談の上で取得可能
探し方次第で働きやすい医療機関が見つかる!
医療事務は「給料が低く残業が多い」というイメージが強くありますが、探し方次第で働きやすい医療機関を見つけることができます。
働き始めてから「思ったより大変で辛い…」ということにならないために、求人に応募する前にはしっかりとしたリサーチが欠かせません。
医療機関は誰にでも開かれた場所なので、他の企業よりも情報収集がしやすいです。ぜひ自分に合った職場を見つけて、医療事務として楽しく働いてほしいと思います。
今回お話ししたことが、勤務先を探す際の比較検討にお役立ていただけると嬉しいです。
医療事務の1日の流れややりがいについては、以下の記事にまとめています。