貯金がなかなか増えない……
NISAが話題だけど正直よくわからない……
将来が不安だし資産形成をはじめてみたい!
こんな悩みを抱えながら、一歩を踏み出せずに過ごしていませんか?
「証券会社で口座を開設し、NISAを活用して資産形成を始める」
この一文を見るだけで投げ出したくなってきますが、しくみをしっかり理解すれば意外に難しいものではありません。
2024年から始まった新NISAは、投資初心者にとってメリットだらけの制度です。
この記事では、資産形成を始める方に真っ先に活用してもらいたいこの制度について、基本的な仕組みから始め方までやさしくまとめます。投資初心者の方にでも分かりやすい表現でお話ししますので、肩の力を抜いてご覧ください。
こんな方に向けて書きました
- 簡単にNISAを始めたい
- ほったらかし投資に興味がある
- 家族ができて資産形成に興味が湧いた
- リスクや手間を減らして投資をしたい
- 面倒だからいろいろと決めて欲しい
名前 : 青山 かえ
- FP技能士2級
- 2018年から6年間 iDeCo と NISA 両方を利用して資産形成中
- 夫と子の3人で暮らす30代
そもそもNISAって?
NISAは「制度」
NISAは投資することで得た利益から、税金が引かれませんという「制度」です。
- NISAはやらない方がいい
- NISAを買う
など、NISAを株や投資信託と同様に捉えている方を時々目にしますが、これは大きな誤りです。
NISA ≠ 投資商品。NISAとは、投資を行うにあたっての税金優遇制度の名称のことなのです。
始まりは2014年から
2014年に、少額投資を行う人のために一般NISAが始まりました。その後、2018年からつみたてNISAも開始。そして2024年には、一般 NISAとつみたてNISAが合併した「新NISA」として生まれ変わりました。
みなさんは銀行の通帳を開き、金利をみてびっくりした経験はありませんか?
1桁 ……???
金利をあてに資産を増やすことはまずできません。
そこで、国の政策として長期投資に適した商品に限定した投資制度 = NISA が作られました。貯蓄していたお金を投資に回して「家計の安定的な資産形成」を促していくことを目的としています。
NISAの基本的な仕組みは?
※ ①整理・監理銘柄 ②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外
NISA・5つのポイント
- 非課税で保有できる期間が無期限
- 口座開設期間も無期限
- つみたて投資枠と成長投資枠の併用ができる
- 年間投資枠は最大360万円まで
- 非課税で保有できる金額は生涯で1,800万円まで(売却した場合、枠の再利用が可能)
出典:金融庁ウェブサイト
NISAは何がお得なの?
NISAを活用すると、投資で増えた分(=利益)から、本来引かれるはずの税金(20%分)が引かれません。ふやした利益を全額手に入れられることが最大のメリットです。
一般的な投資 → 利益分から20%引かれた2,400円が手元に入る
NISAを活用した投資 → 利益の3,000円すべてが手元に入る
今すぐ始めた方がいい理由
効果を高めつつ投資をして資産形成をするなら、始めどきは「今」です。
NISAで保有できる投資商品は、数年〜数十年レベルで持ち続けることを前提にしており、長期投資が鉄則。投資による資産形成には時間が必要で、期間が長いほど投資の効果が高まります。
時間を味方につけるため
投資期間が長くなればなるほど、暴落のリスクが減ります。長いスパンで投資をすると、暴落した期間より上がった期間が長ければ、トータルでプラスになる可能性が高まっていくためです。
よく目にする運用成績を示したグラフは右肩上がりのことが多いですが、実際は現実的ではありません。株価は上がったり下がったりを日々繰り返しています。
それに一喜一憂せずにどっしりと構えていれば、長期でみて利益が増える可能性が高くなっていきます。
投資に詳しく売買に慣れている人は別ですが、初心者であるほど変にいじらずに(=売ったり買ったりすること)長期で持ち続けることが大切です。
「資産形成は時間がかかるもの」と割り切り、早めに始めて時間を味方につけましょう。
複利の効果を高めるため
複利の効果とは、プラスになった利益分を元本に組み入れて再投資(=元本をどんどん大きくしていくイメージ)するもので、続けるほどに利益が増えやすくなっていきます。
複利は人類による最大の発明だ。
知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う。
アルバート・アインシュタインがこのような言葉を残したように、長期投資を行うにあたって大きなポイントとなる仕組みです。
具体的なイメージをお話しすると、
元本1,000,000円を年利5%で運用し、50,000円の利益が出たとします。
出た利益を複利で再投資すれば、元本は1,050,000円になります。
その元本1,050,000円をまた年利5%で運用すると、52,500円の利益が出ます。
それをまた組み入れることで元本は1,102,500円になって……
という具合に、利益が出るたびに元本自体が大きくなっていきます。まさに利益が利益を生む状態です。
「複利」はお金を増やすための大切な考え方なのです。
NISAを始めよう
STEP . 1 : 口座を開設する
金融機関の選び方
開設はネット証券がおすすめです。
ネット証券は手数料が安く、ネットに慣れている人であればスマホひとつで手続きが完結します。普段使っているネット銀行があれば、その銀行の証券口座を開設するのもスムーズですよ。
日頃から楽天ポイントを貯めている筆者は、旧NISAの頃から楽天証券で取引をしています
用意するもの
手元に用意するものはマイナンバーカードのみ。
口座開設自体は、免許証や住民票を本人確認書類とすることもできますが、取引をする前にはマイナンバー登録の必要があります。はじめからマイナンバーカードを手元に準備して、余計な手間を省きましょう。
口座開設
口座解説は、証券会社の公式サイトからステップに沿って進めば、当日〜翌日には開設完了できるものもあります。
ステップ自体は難しいものではありません。今回は楽天証券での口座開設を例にみてみましょう。
- 楽天証券の公式サイトにアクセス
- トップページの「口座開設ボタン」をクリック
- スマホで本人確認(マイナンバーカードと本人の顔写真の撮影)
- 翌営業日以降にメールでログインIDが届く
- 楽天証券の公式サイト内の「ログイン」ボタンからログイン
- アンケート等の登録とマイナンバーカードの登録を行う
- 登録完了後、取引ができる状態になる
リンク:楽天証券
STEP . 2 : 投資するものを選ぶ
口座の開設が完了したら、次は投資するものを選んでいきます。
ここで世界の経済成長と連動した商品を選ぶことが、長期目線でのリスク管理となります。
- なるべくリスクを減らしたい
- 開始後も手間をかけたくない
- 手数料は最低限のものがいい
そう考える方におすすめなのが以下の2つです。どちらもインデックスという運用方法をとっている投資信託です。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
金融商品のひとつで、お金を支払ったあとは、投資や運用に関してその道のプロにお任せ!というもの。詳しい知識がなくてもお金を支払うだけでプロに運用してもらえるので、安心して投資を始めることができます。
指数(=市場の動き)と連動した値動きをします。指数はネット上ですぐに確認可能。指数をチェックしていれば、だいたいの資産の変動具合を見守れるようになっています。
どこか一社に投資するものではなく市場全体に投資するイメージなので、銘柄選びに頭を悩ませることなく投資ができます。
大きな値動きはありませんが、長期的にみて堅実な資産形成をしたい方にピッタリです。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をおすすめする理由
全世界を投資の対象地域としており、最強のリスク分散が可能です。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスという指数に連動した成果を目指すものです。信託報酬(=手数料)も年率で0.05775%と非常に安く、コストを抑えて保有できることも大きな魅力。
購入するだけでほったらかし投資が実現します。あとは世界経済の成長を見守りながら、日常を送るだけで大丈夫です。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)をおすすめする理由
世界最大の経済大国であるアメリカ。その経済が大きく崩れてしまう時は、世界の経済にも深刻な影響が出ると言われています。
この商品は、世界経済でリーダーシップをとっているアメリカの主要企業500社に対していっぺんに投資できてしまう点が最大の魅力です。
S&P500という指数に連動した成果を目指すものです。信託報酬は年率で0.09372%で、全世界と比べコストは若干上がりますが、そもそもが低コストですので、手数料を抑えて保有できます。
過去の成績を見るとリターンが大きい事が特徴ですが、デメリットとして投資の対象地域がアメリカのみという点が挙げられます。
少しリスクをとってでも利益を増やしたい!という方は、是非こちらを検討してみてください。
結局どっちがいいの?
選ぶのが難しい。どう判断すればいい……?
どちらを選択するかは最終的には個人の価値観によりますが、以下の基準を参考に納得できる方を選びましょう。
全世界に幅広く投資して不安を最大限なくしておきたい!という方
アメリカは世界一の経済大国だから、今後も成長すると思う!という方
ちなみに筆者の場合、両方保有しています。
- 家計分 …… リスクを減らしてオールカントリー
- 個人分 …… リターンを期待してS&P500
それぞれ違う商品を持つ事で、資産が一目で区分できます。家計分と個人分の資産を分けながら投資したい方にはおすすめ!
運用期間は数年〜数十年というとても長い期間になります。その間、余計な不安なく安定した気持ちで持ち続けられるのはどちらか、しっかりとイメージしてみてください。
STEP . 3 : 積み立ての設定をする
投信を購入する際は、まず初めに「毎月自動で積み立ててくれるシステム」を作ります。
個人の考え方によりますが、この記事をお読みの方であれば、リスクや手間になるようなことは避けたいことと思います。
そこで重要なのが、毎月の積み立て設定です。好きな日を設定して積み立て設定をすることで、その後は放っておいても自動で購入してくれます。
このシステムを構築することが、ほったらかし投資を実現する最大のポイントなのです。設定を完了したあとは投資をしていることを忘れて、日常に戻って生活しましょう。
購入日付やつみたて金額は、いつでも簡単に変更できますよ
筆者体験談:NISAを始めたあと何が変わった?
筆者の場合、NISAを始めて「毎月自動で積み立ててくれるシステム」を作ってしまったあとは、基本的に何もいじっていません。
変わらない毎日のようですが「NISAを活用して資産形成中」という状態は、必要以上にお金の心配をする時間が減り、精神的な余裕が生まれました。
新NISA開始時に、個人分のS&P500を一括購入しましたが、それ以外の売買は一切しておらず、管理の手間はほぼゼロ。大変だと思ったことは1度もありませんし、むしろお金に対する漠然とした不安が軽減されて心が軽くなりました。
一番心がけていることは「忘れること」です。
これを実践しながら粛々と生活することが、数十年保有し続ける秘訣だと感じています。
NISAの注意点
必ず儲かるものではない
投資は元本割れもあり得ます。
2024年7月の大暴落がネット上で話題になったことも記憶に新しいですが、投資は長期保有したからといって必ず増えるものではありません。「今までの歴史をみると世界の経済は成長していて、それに伴って株価も上がっている」というデータが、ただ提示されているだけなんです。
それが今後の未来を約束するものではありませんので、この辺の理解を忘れないようにしましょう。
余裕資金で行うこと
早く利益を増やしたいがために、生活資金を切り詰めて投資資金にするようなことはおすすめしません。
NISAはいつでも売買可能なんだから、必要になった時にすぐ売却すればいいんじゃない?
その時に金額が下がっていたら、損をしてしまいます。せっかく積み立ててリスク分散してきたのなら、引き出す時にも計画性が大切です
筆者の場合は「月の生活費×1年分の現金」を口座に貯めてからNISAをスタートしました。緊急用の1年間の生活費に加え、直近の行事や子どもの学費についてはしっかりと分けておきましょう。
いち早くNISAを始めたいという場合は、ある程度の緊急用の現金が貯まるまでは、投資金額を抑えめにしながら始めることもひとつの手です。
生活や子どもにお金がかかる内は、無理に数万円を捻出する必要はありません。投資は、余裕資金で行いましょう。
余裕資金なんかない!という場合は?
「切り詰めて投資をすることはない」という主張から少し矛盾を感じさせてしまいますが、月に1,000円でもいいのでとにかく始めてみることを強くおすすめします。
興味はあるけど今お金がないから……
ということを理由にNISAを活用しないのは、制度のメリットを考えるととてももったいないんです。
- 実際に投資をしているという自信が持てる
- 少しづつでもお金が増えていく感覚を味わえる
以上の2点が、マネーリテラシーを大きく育ててくれます。ぜひ、少ない金額からでも始めてみましょう。
初心者でもNISAで簡単に資産形成を始められる!
NISAを活用することで、一生涯、投資の利益を満額手に入れることができます。投資初心者がまず1番はじめに活用するべき制度、それがNISAです。
しかし投資を始めることは、とてつもなく高いハードルに感じてしまいますよね。
その上、証券会社や投資商品の選択肢が多く、始める前や後にすぐに挫折してしまう人が多いのが現状です。
- リスクと手間を抑えた投資商品を選ぶ
- ほったらかししておけるシステムを最初に作る
以上の2つを実践すれば、誰でも簡単につまずくことなく資産形成を始められます!
筆者も2018年にNISAを始める時は、石橋を叩いて割るほど毎日リサーチを繰り返しました。
それから現在までNISAを活用してみた経験を「初心者だったあの頃の自分に読ませたい記事」としてこの記事にまとめました。
NISAを活用した資産形成は、生活の安定感をもたらしてくれます。
今後の生活は、踏み出した一歩で大きく変わっていきます。お金に振り回されず、余計な悩みのないシンプルな生活を送りながら、資産を増やしていきましょう!
これから資産形成を始めたいと考えている方のお力になれれば幸いです。
NISAとiDeCoで迷った時は、こちらの記事もお読みください。