将来のための資産形成を考え始めた時、老後のためのiDeCoや2024年から新しくなったNISAという制度をよく耳にしませんか?
iDeCo と NISA どちらから先に始めたらいいの?
両方やった方がいいの?
投資のことを考え始め、こんなお悩みを抱えている方も多いと思います。
どちらも似ている制度のようでいて、目的や運用方法に大きな違いがあります。それぞれにメリットデメリットが存在し、いくつもの視点から比較しなければなりません。
この記事ではそのような悩みを解決すべく、NISAとiDeCoについてどちらを優先して利用するべきなのかを、メリット・デメリットの比較を含めて詳しく解説します。
最後まで読み終える頃には、自分に合った制度を選択できるようになります!
名前 : 青山 かえ
- FP技能士2級
- 2018年から6年間 iDeCo と NISA 両方を利用して資産形成中
- 夫と子の3人で暮らす30代
NISAとiDeCo、どっちから始める?
結論からお伝えすると、おすすめは以下の通りです。
- 20〜30代の方はNISA
- 40代以降の方や月収が多い方はiDeCo
- 個人の資産状況に応じて併用も
どちらを先に始めるかは、このようにライフステージや資産状況に応じた選択をする必要があります。
20〜30代の方は「NISA」
若年層である20〜30代の方は、長期の資産運用に向いているためNISAでの運用がおすすめ。
この年代の方は「時間」が味方に付いている状態です。投資による資産運用では、リスク分散や複利の効果が薄れてしまわないよう長期保有が鉄則となっており、数年〜数十年持ち続けることで効果が高まります。
また、今後さまざまなライフイベントが起こる可能性が高いので、いつでも資金を引き出せるNISAの方が柔軟な対応が可能です。
以上のことから、若年層の方の資産形成では NISA が第一の選択肢となります。
40代以降の方、月収が多い方は「iDeCo」
ライフイベントが落ち着いてくる中年層である40代以降の方は、老後資金の形成を考えるとiDeCoの優先度が上がります。
iDeCoは60歳まで引き出すことはできず、計画的に掛け金を積み立てた上で、資金を受け取ることができるのは60歳以降から。つまり強制的に資産を蓄える効果があるんです。
マイホーム取得や子どもの教育資金などの出費が落ち着いてきたら、iDeCoを活用して自分の老後へ資金を回していくといいでしょう。
加えて、毎月の収入が多い方ほどiDeCoが向いています。iDeCoを活用することで税制優遇の恩恵を受けられるので、所得税や住民税を抑えることができます。
中年層の40代以降の方やある程度月収が多い方は、iDeCoの選択が合っています。
個人の資産状況に応じて「併用」
もちろん併用することもひとつの手です。
- 貯蓄ができている方
- 余裕資金がある方
- 2つの制度どちらも捨てがたいという方
このような方は2つの制度を併用し、どちらのメリットもいいとこ取りをしながらの資産形成をおすすめします。
NISAもiDeCoも、投資する金額や掛け金は自由に選べます。証券会社によってNISAは100円から、iDeCoは5,000円からと、少額から積み立てを始めることができますので、両方の制度を賢く利用してみてください。
筆者の場合は 1年分の生活費を現金で貯め、それを安心材料にNISAとiDeCoを同時に始めました。
資金的な余裕がある訳ではありませんでしたが、お金の勉強として実際に両方やってみようという気持ちでスタート。
現在は小さい子どもがおり、これから教育費などにお金がかかることが予想されるので、iDeCoは最低金額で現在も続けています。ライフイベントが落ち着いてくるころに掛け金を増やす予定です。
その時の状況に合わせて対応しながら、NISAとiDeCo両方での資産形成を実践することで、今後のライフイベントと自分の老後どちらにも対応可能という「精神的な安心感」が得られました。
NISAとiDeCoの基本をおさらい
ここでNISAとiDeCoの概要をおさらいしましょう。メリットデメリットも含め、それぞれの制度の違いをまとめていきます。
NISA:ライフイベントに対応しながら非課税で運用
制度の目的:家計の安定的な資産形成
投資で得た運用益に対し「無期限で税金がかかりません」という制度。
増えた資産の使い道は自由で、使いたい時にいつでも引き出すことができます。
しかし、所得税や住民税を抑える効果はありません。iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象となりますが、NISAについてはこれに当てはまりません。
iDeCo:節税しながら老後の資産を形成
制度の目的 …… 老後の資金づくり
iDeCoは私的年金制度のひとつで、自分で掛け金を拠出し運用することで資産を増やすものです。
受け取りの際は年金か一時金を選択することができます。
運用益が非課税になることに加え、掛け金が全額所得控除の対象となり所得税や住民税が軽減されます。大きな節税に繋がることがこの制度最大のメリットです。
この税制上のメリットだけで考えると、NISAよりもお得!
一方で60歳まで資金を引き出せない不自由さや、NISAよりも手数料が掛かることに考慮が必要です。
どちらを先に始めるか、その判断基準は?
20〜30代はNISA、40代以降や月収が多い場合はiDeCoがおすすめなのは分かった。でも判断基準をもう少し詳しく知っておきたい!
では投資を始める時に、どちらを優先すべきかを決める5つの判断基準をみていきます。
NISA | iDeCo | |
---|---|---|
目的 | 老後の資産形成 | ライフイベントに 対応しながら長期運用 |
資産の流動性 | ||
税制優遇 | ||
リスク許容度 | ||
手数料 |
目的
「老後の資産形成が目的」なら iDeCo
「将来のライフイベントに柔軟に対応するのが目的」なら NISA
資金の流動性
資金をいつでも使える状態にしたい方は NISA
iDeCoは60歳まで資金が拘束されてしまいますので、ライフイベントに柔軟に対応しながら資産形成を行いたい場合は、NISA一択となります。
税制優遇
掛け金すべてが所得税控除の対象になるのは iDeCo
NISAは運用益が非課税になるメリットはありますが、それ以上の税制優遇の恩恵は受けられないので「運用期間もしっかり節税したい!」という方はiDeCoの方が向いています。
受け取りの際には、公的年金等控除や退職所得控除の対象となります。実際に老後資金を受け取る時にも税制優遇が受けられるので、安心感があります。
リスク許容度
リスクをとりたくない方は iDeCo
リスクがあってもリターンを期待したい方は NISA
NISAの取り扱い商品は、金融庁の一定の条件を満たした「長期積立・分散投資」に適した商品に限定されてはいますが、元本を保証するものは含まれていません。
しかし、iDeCoには元本保証型の商品の取り扱いがあります。大切な老後資金を少しでも減らさずに、税制優遇をしっかり受けたいという方はiDeCoがおすすめです。
手数料
管理費をなるべく抑えたいという方は NISA
iDeCoでは多くの場面で手数料が発生します。
NISAでも購入時や売買時に手数料がかかることがありますが、掛かるコストはiDeCoより抑えることができます。
iDeCoにおける手数料
- 加入や移管時に2,829円
- 掛け金納付のたびに加入手数料105円+毎月66円(金融機関によっては運用手数料が掛かる場合もあり)
- 60歳以降の受け取りのたびに受取手数料400円
ライフステージや資産状況に応じて優先度が決まる
この記事では、目的に合わせたおすすめとして、
- 20〜30代の若年層の方はNISA
- 40代以降の中年層の方やある程度月収が多い方はiDeCo
- 個人の資産状況に応じて併用する
という3つの選択肢を挙げました。
NISAとiDeCoどちらにも共通しているのは、長い目で見た資産運用を行うこと。そのためには時間が大きな武器となりますので、少額からでも早く始めることに意味があります。
NISAとiDeCo、どっちがいいのか決められずに投資を始められない……
と悩んでいる時間がもったいないほど、このNISAとiDeCoはお得な制度なんです。
ライフイベントに合わせて資金を自由に引出せる資産運用も可能なNISA、老後資金をしっかりと確保するためのiDeCo。今の自分の状況に照らし合わせた選択をしましょう。
「今」が将来のための最適なタイミングです!
この記事で解説した判断基準が、投資への第一歩を踏み出すきっかけとなれば嬉しいです。
NISAについてのしくみや始め方をやさしく解説した記事もありますので、興味のある方はこちらも是非ご覧ください。